こんばんは。おはよう。

前回の続きです。
エミール・グリフィスがベニー・パレットをリング上で死に至らしめた翌年の1963年。
王者グリフィスに挑む26歳の若者がいました。
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彼の名はルービン・カーター。11歳で少年院から脱走してボクシングの道に入り、リングネーム「ハリケーン」を名乗って活躍しました。故郷に戻った際に警察官に見つかり残りの刑期ぶん刑務所に入れられましたが、出所後プロボクサーに。デビューからわずか2年でチャンピオンへの挑戦権を得ました。

クリスマスを間近に控えた12月20日、彼はわずか1ラウンドで王者グリフィスをノックアウト。あっさりとウォルター級チャンピオンの座を手にしました。

そんな彼の人生に転機が訪れるのは1966年。バーで3人の白人を射殺した罪で逮捕されました。有名ボクサーの逮捕は全米を騒がせましたが、この騒乱が20年にもわたって続くことになるとは誰も思わなかったでしょう。

陪審員に黒人差別主義者を揃えたとか、有利な証拠を検察が隠蔽していたとか、証人が司法取引で偽証を明かしたとか。今となっては真相はわかりません。
確かなのは、彼は無実を訴え続け、1988年に釈放されるに至ったということだけです。

このルービン・カーター事件を元にした映画が『ザ・ハリケーン』(1999)です。
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デンゼル・ワシントンが獄中のルービン・カーターを好演し、ベルリン国際映画祭男優賞、ゴールデングローブ賞主演男優賞を獲得しました。彼は撮影前1年間ボクシングジムに通って鍛えたそうです。 
彼が2014年に天寿を全うした際には、冤罪被害者支援団体の協力のもと世界中で『ザ・ハリケーン』の回顧上映が行われました。